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株式 4358:TYO NISA

懸賞 2014年 01月 05日 懸賞

TYOの株価のことで検索をかけてきている人が少しだけ増えています。恐らくNISAの関連で、

『めぼしい株を探している』

人だと思います。あまり人に知られていない、かつ値ごろで将来性のある会社を探していると、そういう人だと思います。
そしてTYOに行き当たったと。たぶんそんなところではないですか。
そのような人に私の個人的な見解を一応、書いておきます。

①TYOが属する広告制作の仕事はあくまで電通などの下請けであって、利益は電通が持っていく(アニメの製作会社と同じですね)。
②利益がないので、借金に頼りがちとなる。
③ジャスダックへの株式上場もどちらかというと銀行への返済資金を工面するという側面が強かったと考えられる。
④で、あるからこその上場直後の80円台への株価急落。

ここまでが大前提です。つまり、上場は会社の銀行への貸付金返済のためのものであって、投資家から金を毟ることで銀行を助けるというきわめて後ろ向きなものであった、というのが私の見解です。

⑤コマーシャルフィルム(本業)だけでは将来がきわめて不安。

そのような意識がTYOの上層部には拭いがたく存在する。そこにITバブルがやってきた。本当であれば倒産していてもおかしくなかった会社は分不相応な金を手にする。ただ金を得るだけに留まらず、今度は自社株で金を借りて投資会社の真似事を始める。そういうおかしなことをしたのも根本に、

『本業はダメだ』

という意識があったから。そして目論見は外れてバブルははじけ、リーマンショックで息止めを刺された。

⑥会社は四分五裂。ついにはインテグラルに資金を突っ込んでもらうこととなった。

ここまでが2011年ぐらいまでのお話です。で、アベノミクスということで、株価も上がり、

⑦インテグラルは全株を市場に売り払って退散。

したわけです。その際に、

⑧復配、記念配当、クオカード
⑨東証二部鞍替え

という『素晴らしい実績』をインテグラルは残していったわけです。情報誌であるとかアナリストはその点について手放しで賞賛しているのかもしれませんが、私としては危険なことであると思います。

そのような実績の資金はいったいどこから出ているのか。恐らく、営業によって稼ぎ出した金ではない。インテグラルが去る当たって、社長の吉田氏をはじめ役員も株を売り出している。三百万株ほどです。この株を売った金が二部鞍替えであるとか、配当の原資となっているのではないですか?インテグラルの逃げ場を作る演出として、経営陣が自腹を切らされた。特段に問題がある行為ではないですが、それでも、

会社には潤沢な資金はない

と見るのが自然なような気がします。

本業がダメだという現場の実感があっての投資会社への鞍替えだったわけで、今更に本業に戻って何か得るものが有るのか。そこで利益を出していけるのか。私ではなくて、彼らが自分たちで出した答えと矛盾する行動をしている。理屈に合いません。

一方で確かに株価が上昇していますが、結局それは円安の効果。東証が全体として50パーセントアップしていることを思えば、160円程度の4358:TYOの株価はインテグラルが株を売り払う前の110円レベルとほとんど変わっていない。

さらに

⑩業界寡占

業界大手みたいなことが言われていて、それを買い材料にする考えもあるのですが、一方で、寡占ということは、

『業界内での順位はほとんど固定されていて動かない』

ということでもあります。ちなみに業界最大手の2329:(株)東北新社は時価総額で400億円。TYOは100億円。業界大手といっても4分の1の規模でしかありません。逆転はほぼ不可能でしょう。

結局TYOという会社はインテグラルに食い物にされた、とまでは言わないまでも、資産を減らす結果となったというのが私の意見です。きわめて脆弱。そして、インテグラルがやって来る前と後で、何か変わったか、例えば新機軸の商品開発などがあったかというとそういうわけでもない。あくまでも、

⑪円安誘導による株価の上昇
⑫インテグラルによる『なんとなくうまく行っているような』演出

によって外面を取り繕っているだけ、なわけです。それが言い過ぎとしても、ものすごく利益の上がる体質になったとは考えにくいわけです。

だとすれば外部環境が悪化すればまたぞろ株価は100円台に逆戻りということになる。

そして、長々と書いてきましたけれど一番気がかりなのは、実は、そういうところではない。問題となるのはむしろ、そんなところではない。何故ならば、

⑬何か新しい商品なりサービスが明日生まれる。

という可能性もあるからです。現場の努力は侮るべきではないと私は思いますから。問題はそこではなくて、

⑭社長の吉田氏は1949年生まれ。若く見せているがすでに65歳。

残念ですが、65歳という年齢は相当にきつい。判断力、体力、ともに落ちていく。平穏な時代であれば良いのですが、恐らく、これからはそういう平穏な時代ではない。テレビを見る人の数も減っていく。経営の舵取りは難しくなるばかり。だというのに、

⑮後継者の顔が一向に見えてこない。

そういう人がいないのでしょう。だとすればそういう会社に金を突っ込むのはいいことなのか。まあ、投資というのは博打ですし、日本の市場はわかっていない人から金を毟るための道具でしかないわけですから、私が今更に長々と書き連ねるのも野暮だと思うのです。ただ、一応念のため、ですね。

いずれにせよ、

⑯NISAという制度は大手が持っている株を個人に押し付けて逃げ出すための舞台装置。

であって、であればそういうものが動き出す時点で、

⑰株価の上昇局面は終わり、今年は日経も下げていく。

というのが自然な流れのように私には思われます。

インフレだから紙幣で持っているより現物というのも正しい理屈ですけれど、まあ、それならばそれで、トヨタならトヨタ、任天堂なら任天堂、『一強』を買うのが一番安全だと思います。

by koukehanten | 2014-01-05 10:47

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